在庫管理をしていると、「システム上では10個あるはずなのに、実際には9個しかない」といったズレが発生することがあります。
このような、帳簿や在庫管理システムで管理している在庫数と、実際に保管されている在庫数のズレを「在庫差異」といいます。
在庫差異は、単純な数え間違いだけで発生するものではありません。
入出庫時の記録漏れや入力ミス、保管場所の間違いなど、日々の業務の中に原因があることも少なくありません。
この記事では、在庫差異が発生する主な原因と、差異が出たときの確認方法、在庫差異を減らすための対策についてわかりやすく解説します。
在庫差異とは、帳簿や在庫管理システムに記録されている「帳簿在庫」と、実際に保管されている「実在庫」が一致していない状態です。
例えば、システム上の在庫数が100個、実際に数えた在庫数が98個だった場合、2個の在庫差異が発生しています。
「棚卸差異」と「在庫差異」は、どちらも帳簿上の在庫数と実際の在庫数にズレがある状態を表す言葉として使われます。
棚卸差異は、棚卸によって確認された帳簿在庫と実在庫の差を指す場合が一般的です。
一方、在庫差異は、日々の入出庫や在庫移動、返品、廃棄などによって発生する在庫数のズレを含めて使われます。
日々の在庫管理で発生した在庫差異が、棚卸を行った際に棚卸差異として見つかることもあります。
棚卸差異が繰り返し発生する場合は、棚卸方法だけでなく、普段の入出庫や在庫移動の記録方法に原因がないかを確認することが重要です。
システム上では在庫があることになっていても、実際には不足している場合があります。
必要なときに部品や材料が見つからなければ、製造や出荷を予定どおり進められない可能性があります。
反対に、実際には在庫があるにもかかわらず、システム上では不足している場合、不要な発注につながることもあります。
在庫差異が見つかると、「いつ、どこで、なぜズレたのか」を確認する必要があります。
過去の入出庫記録を確認したり、別の保管場所を探したりするため、差異が多いほど確認作業にも時間がかかります。
棚卸のたびに差異調査へ多くの時間を使っている場合は、棚卸作業だけではなく、普段の在庫管理方法を見直す必要があります。
在庫情報が正しくなければ、実際の在庫量をもとにした発注判断ができません。
帳簿上では在庫があるため発注せず、必要なときに欠品する場合もあれば、在庫がないと判断して余分に発注し、過剰在庫になる場合もあります。
在庫は企業の資産です。
帳簿上の在庫と実際の在庫が大きく異なれば、在庫金額も正確に把握できません。
在庫差異は現場だけの問題ではなく、原価管理や会計処理にも影響する可能性があります。
現物を入庫・出庫したにもかかわらず、帳簿やシステムへの登録を忘れるケースです。
例えば、製造現場で部品を急いで持ち出し、あとから出庫処理をするつもりで忘れてしまうと、実在庫だけが減り、システム上の在庫数は変わりません。
現物の移動と記録を別々のタイミングで行う運用では、このような処理漏れが発生しやすくなります。
手入力で在庫を管理している場合、数量や品番の入力を間違えることがあります。
「10個」を「100個」と入力したり、似た品番の商品を間違えて登録したりすると、その時点で在庫差異が発生します。
品目数が多い現場や、似た品番を多数扱っている現場では特に注意が必要です。
在庫そのものは存在していても、決められた場所とは違う場所に置かれているため、棚卸時に見つけられないケースがあります。
一時的に別の棚へ置いたまま戻していない、保管場所を変更したもののシステムには反映していない、といった場合です。
この場合、在庫数そのものは合っていても、特定の保管場所だけを見ると差異が発生します。
通常の入荷・出荷だけでなく、返品や廃棄などの処理も在庫数に影響します。
不良品を廃棄したものの在庫データを減らしていない、返品された在庫を元に戻していない、といった処理漏れがあると帳簿在庫と実在庫が合わなくなります。
通常とは異なる処理ほど、登録方法を明確にしておくことが重要です。
在庫差異があるように見えても、実際には棚卸作業そのものに間違いがある場合もあります。
数え漏れや二重カウント、記録時の転記ミスなどが代表的です。
特に在庫量が多く、紙の棚卸表へ手書きしている場合は、確認や転記の工程が増えるため注意が必要です。
倉庫内で商品や部品を別の場所へ移動したにもかかわらず、移動先を記録していないケースです。
システム上では元の場所に在庫があることになっているため、棚卸やピッキングの際に「在庫がない」と判断されることがあります。
保管場所が多い現場では、在庫数だけでなくロケーション管理も重要です。
在庫差異が見つかった場合、すぐに在庫数だけを修正して終わらせるのではなく、可能な範囲で原因を確認することが重要です。
まず、棚卸時の数え間違いではないかを確認します。
数え漏れや二重カウントがないか、箱やケースの入り数を間違えていないかを確認します。
本来の保管場所だけでなく、一時置き場や作業場所、別の棚なども確認します。
在庫が別の場所に移動しているだけで、総在庫数には差異がない場合もあります。
入荷、出荷、在庫移動、返品、廃棄などの履歴を確認し、未登録の作業や数量の入力ミスがないかを調べます。
原因が特定できた場合は、在庫数を修正するだけでなく、差異が発生した理由も記録しておきます。
同じ原因による差異が繰り返されていないかを確認することで、運用改善につなげやすくなります。
「現物を先に動かして、あとで入力する」という運用は、入力忘れの原因になります。
できるだけ現物を動かすタイミングで入出庫処理も行うようにすると、処理漏れを防ぎやすくなります。
担当者によって在庫の扱い方が異なると、差異が発生しやすくなります。
入荷、出荷、在庫移動、返品、廃棄など、それぞれについて「いつ」「誰が」「どのように記録するか」を決めておくことが大切です。
特に例外的な処理については、担当者ごとの判断に任せないようにします。
「空いている場所に置く」という運用では、在庫を探す時間が増えるだけでなく、棚卸時の見落としも起こりやすくなります。
品目ごとに保管場所を決めたり、棚やロケーションに番号を付けたりすることで、どこに何があるのかを把握しやすくなります。
品番や数量を手入力している場合は、バーコードを利用することで入力ミスを減らせます。
入出庫時にバーコードを読み取り、その場で処理する運用にすれば、現物とデータの動きを合わせやすくなります。
棚卸でもバーコードを利用することで、紙への記録やシステムへの転記といった作業を減らすことができます。
年に一度の棚卸で初めて差異を確認すると、いつ発生した差異なのかを特定するのが難しくなります。
差異が発生しやすい品目や重要な在庫については、月次や週次などで定期的に確認する方法もあります。
確認する間隔を短くすることで、差異が見つかった場合も原因を追いやすくなります。
在庫差異が発生するたびに個別対応するだけでは、同じ問題が繰り返される可能性があります。
「出庫登録漏れ」「保管場所の間違い」「棚卸時の数え間違い」など、差異の原因を分類して記録しておくと、発生しやすい作業や品目を把握できます。
発生件数の多い原因から順番に改善することで、在庫差異を効率的に減らせます。
在庫差異の発生状況を確認する際は、「在庫差異率」を使って管理する方法があります。
例えば、帳簿在庫数に対してどの程度の数量差異が発生しているかを割合で確認します。
例えば、帳簿在庫が1,000個あり、実在庫との差が10個だった場合、在庫差異率は1%です。
なお、在庫差異率の計算方法や差異のプラス・マイナスの表し方は、企業によって異なる場合があります。
数量だけでなく金額を基準に確認したり、品目や保管場所ごとに差異を管理したりする方法もあります。
数値そのものだけを見るのではなく、前回より差異が増えていないか、特定の品目や工程に集中していないかを確認することが重要です。
Excelや紙でも在庫管理はできますが、入出庫の回数や品目数が増えるほど、手入力や転記によるミスが発生しやすくなります。
在庫管理システムを利用すると、入荷・出荷・在庫移動・棚卸などの情報をまとめて管理できます。
バーコードやハンディターミナルと組み合わせれば、現物を確認しながらその場で在庫データを更新できるため、記録漏れや入力ミスの削減につながります。
重要なのは、システムを導入すること自体ではなく、「現物が動いたときにデータも更新される運用」をつくることです。
在庫差異が多い場合は、現在の業務のどこで現物とデータの動きが分かれているのかを確認すると、改善すべきポイントを見つけやすくなります。
在庫・図面・設備・生産情報の管理、CAD自動作図、RFID活用、既存システムとの連携など、製造現場の課題に合わせたシステム開発に対応しています。
在庫差異とは、帳簿や在庫管理システム上の在庫数と、実際に保管されている在庫数が一致していない状態です。
主な原因には、入出庫の記録漏れ、数量や品番の入力ミス、保管場所の間違い、返品・廃棄の処理漏れ、棚卸時の数え間違いなどがあります。
差異が発生したときに在庫数だけを修正していると、同じ原因によるズレが繰り返される可能性があります。
まずは、どの作業で差異が発生しているのかを確認し、入出庫と記録を同じタイミングで行う、管理ルールを統一する、保管場所を明確にするといった基本的な対策から見直してみましょう。
品目数や入出庫の回数が多く、手作業での管理が難しくなっている場合は、バーコードや在庫管理システムを活用し、現物とデータを同じタイミングで管理できる仕組みに変える方法もあります。

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