製造業では、製品だけでなく、原材料や部品、製造途中の仕掛品など、さまざまな在庫を管理する必要があります。
さらに、在庫は倉庫だけでなく、製造現場や工程間に存在することもあり、
といった課題が発生することがあります。
製造業の在庫管理では、単に「何個あるか」を把握するだけでなく、「何が・どこに・どれだけあるか」を正確に管理し、必要なときに必要なものを使える状態にすることが重要です。
この記事では、製造業における在庫管理の基本から、管理する在庫の種類、よくある課題、管理方法、効率化するためのポイントまでわかりやすく解説します。
製造業の在庫管理とは、製品をつくるために必要な原材料や部品、製造途中の仕掛品、完成した製品などの数量や保管場所、入出庫の状況を管理することです。
小売業や卸売業では商品や製品の在庫が中心ですが、製造業では製造工程に応じて在庫の状態が変化するのが特徴です。
例えば、購入した部品を倉庫へ入庫し、組み立てや加工のために製造現場へ払い出します。
そして、完成した製品は再び倉庫へ保管するといった流れがあります。
このように、製造工程に応じて在庫の数量や状態が変化します。
そのため製造業では、数量だけでなく、
など、製造現場の運用に合わせた情報を管理する必要があります。
製造業では、製造の段階によってさまざまな在庫が発生します。
主な在庫は、次のように分けられます。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 原材料 | 製品を製造するために使用する材料 | 金属、樹脂、木材、薬品など |
| 部品 | 製品を構成するために使用する部品 | ねじ、基板、モーター、電子部品など |
| 仕掛品 | 製造途中で、まだ完成していないもの | 加工途中の部品、組立途中の製品など |
| 完成品 | 製造が完了し、出荷できる状態の製品 | 完成した機械、装置、製品など |
| 副資材・消耗品 | 製造や梱包などで使用する資材 | 梱包材、テープ、手袋など |
企業や製造する製品によって、管理する対象や呼び方は異なります。
中でも、特に把握しにくいのが仕掛品です。
原材料や完成品だけを管理していると、製造現場へ払い出したあと、完成品になるまでの在庫状況が把握しにくくなることがあります。
必要に応じて仕掛品も管理対象とし、製造工程を含めて在庫の動きを把握できるようにすることが重要です。
製品をつくるために必要な部品や原材料が不足すると、ほかの部品がそろっていても製造を進められない場合があります。
必要な部品や原材料を必要なときに使えるよう、在庫を適切に管理することが、安定した生産につながります。
在庫状況が正確にわからないと、「足りないかもしれない」と多めに発注したり、すでにある部品を重複して購入したりすることがあります。
必要以上に在庫を持つと、余分な仕入れ費用や保管コストがかかり、保管スペースも圧迫します。
また、長期間使用されない在庫や、仕様変更などによって使えなくなる在庫が増える原因にもなります。
「在庫はあるはずなのに、どこにあるかわからない」という状態では、部品を探すだけで時間がかかります。
在庫数量とあわせて保管場所を管理することで、必要な部品を見つけやすくなり、製造現場での探索時間を減らせます。
生産計画を立てる際には、現在どれだけ在庫があり、製造に必要な材料や部品がそろっているかを確認する必要があります。
在庫情報が正確であれば、不足しているものを把握しやすくなり、発注や製造の判断にも活用できます。
システムやExcel上では100個あることになっているのに、実際に数えると98個しかない、といった在庫差異が発生することがあります。
原因としては、入出庫の登録漏れ、数量の入力ミス、在庫移動の記録漏れ、棚卸時の数え間違いなどが考えられます。
製造業では、在庫が倉庫だけにあるとは限りません。
製造現場や一時置場、工程間などに在庫が移動すると、数量はわかっていても保管場所がわからなくなることがあります。
特に、同じ品目を複数の場所に保管する場合は、品目ごとの総在庫だけでなく、保管場所ごとの在庫を把握することが重要です。
現物を先に移動し、あとからExcelやシステムへ入力する運用では、入力を忘れたり、数量を間違えたりする可能性があります。
特に入出庫の回数が多い現場では、現物の動きと在庫情報の更新に時間差が生まれやすくなります。
部署や工程ごとに別々のExcelや台帳で在庫を管理していると、会社全体でどれだけ在庫があるのかわかりにくくなります。
「ある部署では不足しているが、別の場所には同じ部品が余っている」といった状況が発生することもあります。
管理する品目数や保管場所が多い製造現場では、棚卸の対象も多くなります。
紙へ数量を記入してあとから入力する運用では、在庫を数える作業だけでなく、転記や集計、差異の確認にも時間がかかります。
在庫管理の方法は、管理する品目数や入出庫の頻度、利用人数、必要な管理レベルなどによって異なります。
代表的な方法を見てみましょう。
品目名、品番、在庫数、入庫数、出庫数などをExcelへ入力して管理する方法です。
導入しやすく、品目数や担当者が少ない場合には使いやすい一方、管理する品目や入出庫が増えると、入力や更新の負担も大きくなります。
複数人で利用する場合は、誰がいつ更新するのかなど、運用ルールを決めておくことも重要です。
商品や部品、ロケーションなどに付けたバーコードを読み取り、入庫・出庫・棚卸・在庫移動を登録する方法です。
品番などを手入力する作業を減らせるため、入力ミスの防止や作業時間の短縮につながります。
なお、バーコード自体が在庫数を管理するわけではありません。バーコードで商品や保管場所を識別し、実際の在庫情報は在庫管理システムなどで管理します。
在庫管理システムを利用すると、品目ごとの在庫数量だけでなく、入出庫や在庫移動の履歴、保管場所などをまとめて管理できます。
管理する品目や利用者が増え、Excelや紙による管理が難しくなってきた場合には、在庫管理システムを利用する方法があります。
最初からすべての物品を細かく管理しようとすると、入力や登録の負担が大きくなります。
原材料、部品、仕掛品、完成品、消耗品などのうち、何を在庫として管理するのかを整理しましょう。
品目によって管理方法を変えるなど、自社の業務に必要な範囲から始めることも大切です。
「個」「箱」「ケース」「kg」など、同じ品目を異なる単位で扱うと、在庫数のずれにつながることがあります。
どの単位で在庫を管理するのかを決め、入庫・出庫・棚卸で同じ基準を使えるようにします。
部品を空いている場所へその都度置いていると、必要なものを探す時間が増えてしまいます。
棚やラックなどにロケーションを設定し、どこに何を保管するかを決めることで、在庫を見つけやすくなります。
同じ品目を複数の場所へ保管する場合は、ロケーションごとの数量を管理する方法もあります。
部品や材料を移動してからまとめて入力するのではなく、入庫・出庫・移動などの作業と在庫情報の更新をできるだけ同じタイミングで行います。
現物の動きと記録の時間差を小さくすることで、登録漏れを防ぎやすくなります。
品番やロケーションを毎回手入力すると、入力ミスや選択ミスが発生する可能性があります。
バーコードやハンディターミナルを活用し、現場で読み取った情報を在庫管理システムへ登録できるようにすると、手入力や紙からの転記を減らせます。
在庫管理の仕組みを整えても、入力漏れや数量間違いを完全になくすことは困難です。
定期的に実際の在庫を確認し、帳簿在庫と実在庫に差異がないか確認します。
差異が発生した場合は数量を修正するだけでなく、原因を確認して運用を見直すことが重要です。
在庫管理システムでは、製造現場の運用に応じて、次のような情報を管理できます。
どこまで管理する必要があるかは、製造する製品や業務内容によって異なります。
例えば、数量だけ把握できればよい現場もあれば、ロット単位で在庫を区別したり、どの場所に何個あるかまで管理したりする必要がある現場もあります。
システムを選ぶ際は、機能の多さだけでなく、「自社では何を管理したいのか」を先に整理することが重要です。
Excelや紙による在庫管理が必ずしも悪いわけではありません。
管理する品目や担当者が少なく、現在の方法で問題なく運用できているのであれば、そのまま管理できるケースもあります。
一方で、次のような状況が増えてきた場合は、現在の管理方法を見直すタイミングのひとつです。
こうした課題がある場合は、単にExcelをシステムへ置き換えるのではなく、現在の在庫管理の流れを整理したうえで、どの作業を改善したいのかを明確にすると、自社に合った方法を検討しやすくなります。
在庫・図面・設備・生産情報の管理、CAD自動作図、RFID活用、既存システムとの連携など、製造現場の課題に合わせたシステム開発に対応しています。
製造業の在庫管理では、完成品だけでなく、原材料や部品、仕掛品など、製造工程に存在するさまざまな在庫を管理する必要があります。
在庫を適切に管理することで、欠品による製造停止や過剰在庫を防ぎやすくなるほか、部品を探す時間の削減や、発注・生産計画に必要な情報の把握にもつながります。
まずは、何をどの単位で管理するのか、どこに保管するのか、いつ在庫情報を更新するのかといった基本的なルールを整理することが重要です。
品目数や入出庫が増え、Excelや紙での管理が難しくなってきた場合は、バーコードや在庫管理システムの活用も検討しながら、自社の製造現場に合った在庫管理の方法を整えていきましょう。

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