製造業では、製品や部品が定められた品質や仕様を満たしているか確認するため、さまざまな検査が行われています。
しかし、検査工程では、
といった課題が発生することがあります。
検査工程を効率化するには、測定時間を短縮するだけでなく、検査表の作成、測定、記録、判定、帳票作成など、検査に関わる一連の作業を見直すことが重要です。
この記事では、製造業の検査業務でよくある課題と効率化する方法、検査工程を自動化する際の考え方についてわかりやすく解説します。
製品や部品の検査では、実際に測定する作業だけでなく、検査前の準備や検査結果の記録、判定、帳票作成などにも時間がかかります。
まずは、検査工程で発生しやすい課題を整理してみましょう。
検査業務を人手に頼っている場合、検査する製品や部品が増えるほど必要な作業時間も増えます。
特に、測定器の操作や検査結果の記録などで作業者が検査設備に付きっきりになる運用では、人手不足の影響を受けやすくなります。
抜き取り検査から全数検査へ変更する場合など、検査数量が増えると、測定や記録にかかる作業も増加します。
1件あたりの検査時間が短くても、繰り返すことで大きな負担になります。
寸法検査では、図面や検査表を確認しながら、ノギスやマイクロメータなどの測定器で寸法を測定します。
測定箇所が多い製品や、受入検査などで多くの部品を確認する場合は、測定そのものに時間がかかります。
また、複数の測定器や検査装置を操作する場合は、機器の切り替えや設定にも手間がかかります。
測定値を紙へ記録し、あとからExcelやシステムへ入力する運用では、同じ情報を何度も扱うことになります。
作業時間が増えるだけでなく、数値の入力間違いや転記漏れが発生する可能性もあります。
検査が完了したあとに、測定値や判定結果をまとめて検査成績書やレポートを作成している場合、検査後にも事務作業が発生します。
検査件数が多いほど、結果の整理や帳票への転記にかかる時間も増えます。
検査する順番や測定器の操作方法、合否の確認方法などが担当者ごとに異なると、検査品質を一定に保ちにくくなります。
また、経験のある担当者しか対応できない作業が多い場合は、教育や引き継ぎにも時間がかかります。
検査工程を効率化する方法は、検査設備を新しくすることだけではありません。
検査前の準備から測定、判定、記録、帳票作成までの流れを整理し、手作業が多い部分から改善することも効果的です。
例えば、次のような方法があります。
まず、現在行っている検査の項目や手順を整理します。
「誰が」「何を」「どの順番で」「どの測定器を使って」「どの基準で判定するか」を明確にすると、重複している作業や、担当者によって異なる手順を見つけやすくなります。
検査手順を明確にして標準化することで、その後のシステム化や自動化も進めやすくなります。
寸法検査では、図面から寸法や公差などを拾い出し、検査表へ転記する作業が必要になる場合があります。
図面から必要な寸法情報を抽出し、検査表を作成できるシステムを活用すれば、検査前の準備にかかる時間や転記作業を減らせます。
測定器で確認した数値を作業者が手入力するのではなく、デジタルノギスなどの測定器や計測機器からデータを直接取り込む方法があります。
測定と同時に結果を記録できれば、数値を書き写す作業を減らし、入力間違いや記録漏れの防止にもつながります。
測定値を規格値や公差と照合し、OK・NGを自動判定する仕組みを導入する方法もあります。
あらかじめ判定基準をシステムへ設定することで、作業者が一つずつ基準値と照合する作業を減らせます。
判定方法を統一しやすくなるため、担当者による判断のばらつきを抑えることにもつながります。
測定データや判定結果をシステムに記録し、そのデータから検査成績書やレポートを出力できるようにすれば、検査後の集計や転記作業を削減できます。
測定から記録、帳票作成までの一連の流れをシステム化することで、同じデータを何度も入力する必要がなくなります。
繰り返し行う性能検査や試験では、計測機器や検査装置そのものをシステムから制御する方法もあります。
あらかじめ登録した検査手順に沿って、機器への指示、測定データの取得、合否判定、結果の保存などを自動で実行できれば、作業者が設備に付きっきりになる時間を減らせます。
検査工程では、検査前の準備から測定、判定、記録、帳票作成まで、さまざまな作業を自動化・システム化できます。
| 工程 | 手作業の例 | 自動化・効率化の例 |
|---|---|---|
| 検査準備 | 図面から寸法や公差を確認し、 検査表へ転記する |
図面から寸法情報を抽出し、 検査表を作成する |
| 測定・試験 | 作業者が測定器や 検査装置を操作する |
測定器・検査装置を システムから制御する |
| データ取得 | 測定値を紙やExcelへ 手入力する |
測定器から測定データを 自動取得する |
| 判定 | 測定値と規格値を確認して 合否を判断する |
設定した判定基準から OK・NGを自動判定する |
| 記録 | 検査結果や作業内容を 手作業で記録する |
検査結果やログを 自動保存する |
| 帳票作成 | 結果を集計して 検査成績書やレポートを作成する |
記録したデータから 帳票を自動出力する |
自動化できる範囲は、検査対象や使用する測定器、判定方法によって異なります。
すべてを一度に自動化するのではなく、自社の課題に合わせて対象となる工程を選びましょう。
測定器の操作や測定値の入力、合否判定、帳票作成などを自動化することで、手作業を減らせます。
特に、同じ検査を繰り返す場合や検査件数が多い場合は、作業者が検査設備に付きっきりになる時間を減らせます。
測定データを自動取得し、設定した基準で合否を判定することで、手入力による間違いや担当者ごとの判断のばらつきを減らせます。
検査手順も統一しやすくなり、属人化の防止にもつながります。
検査結果をデジタルデータとして保存すると、過去の結果を検索したり、製品や期間ごとに比較できます。
蓄積したデータは、品質管理や不具合発生時の原因調査にも活用できます。
検査工程を自動化する際は、最初から大規模なシステムを導入するのではなく、現在の業務と課題を整理し、自動化する範囲を決めたうえで進めると良いです。
次の手順を参考に、自動化を検討してみてください。
検査表の準備、測定、判定、記録、帳票作成など、現在行っている作業を順番に整理します。
使用している測定器や検査装置、Excelや紙の帳票なども合わせて確認します。
検査工程の中で、繰り返し作業になっている部分や、入力・転記が発生している部分、作業者が付きっきりになっている部分を確認します。
「検査そのもの」だけでなく、準備や記録、帳票作成まで含めて確認すると、効率化できる作業を見つけやすくなります。
課題を整理したら、どこまで自動化するかを決めます。
例えば、「測定値の入力だけを自動化する」「測定から合否判定まで自動化する」「機器操作から帳票出力まで一連の作業を自動化する」など、目的に応じて必要な範囲は異なります。
現在使用している測定器や検査装置を活用する場合は、システムと連携できるかを確認します。
機器の種類や通信方式によって連携方法が異なるため、自動化したい作業と合わせて検討する必要があります。
複数の製品や検査工程がある場合は、特に時間がかかっている検査や、繰り返し回数の多い検査から自動化する方法もあります。
実際の運用で効果や課題を確認しながら、必要に応じて自動化する範囲を広げていきます。
合否判定を自動化する場合は、どの測定値を、どの基準で判定するかをあらかじめ整理しておきます。
担当者の経験や感覚に依存している判断がある場合は、自動化を検討する前に判定基準を整理します。
システムと機器が連携できても、作業者がどのタイミングで操作するか、異常時にどう対応するかなど、実際の運用まで決めておく必要があります。
測定や判定だけでなく、検査結果の保存方法や、あとから確認できる仕組みまで考えておきます。
製品番号や検査日時などと検査結果をひも付けて管理できれば、過去データの確認や不具合発生時の原因調査にも活用しやすくなります。
検査工程の課題は、検査する対象や方法によって異なります。
自社で負担になっている作業を整理すると、どの部分をシステム化すべきか見えてきます。
例えば、図面から寸法を拾って検査表を作成する作業に時間がかかっている場合は、検査表システムを活用する方法があります。
CAD図面やPDF図面から寸法情報を抽出し、検査表作成やOK・NG判定、検査成績表の出力などを効率化できます。
一方、複数の計測機器の操作や繰り返し試験、測定データの取得、合否判定などに時間がかかっている場合は、試験装置や計測機器をシステムから制御する方法があります。
自動試験・検査ソリューションでは、計測機器の制御、測定データの取得、検査結果の判定、レポート出力など、検査内容に合わせたシステム化が可能です。
在庫・図面・設備・生産情報の管理、CAD自動作図、RFID活用、既存システムとの連携など、製造現場の課題に合わせたシステム開発に対応しています。
製造業の検査工程では、測定だけでなく、検査表の作成、測定結果の記録、合否判定、検査成績書の作成など、さまざまな作業が発生します。
検査業務を効率化するには、現在の検査工程を整理し、時間や人手がかかっている作業を明確にすることが、はじめの一歩になります。
検査表作成のシステム化、測定データの自動取得、OK・NG判定、帳票の自動出力、計測機器の制御など、自動化できる範囲はさまざまです。
すべてを一度に自動化するのではなく、自社の課題に合わせて効果の大きい工程から効率化を進めましょう。

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