製造業では、製品や部品を正しく製造するために、設計図、製作図、組立図、部品図など、さまざまな図面が利用されています。
図面には、製品の形状や寸法、材質、加工方法など、ものづくりに必要な情報が記載されています。
そのため、図面の管理に問題があると、設計部門だけでなく、調達、製造、品質管理、営業など、多くの部門の業務に影響します。
しかし、実際の現場では、
といった課題も少なくありません。
こうした問題を防ぎ、必要な人が必要なときに正しい図面を利用できる状態を整える取り組みが、図面管理です。
本記事では、図面管理の目的や重要性、よくある課題、主な管理方法、図面管理を効率化するためのポイントについて解説します。
図面管理とは、設計図や製作図、組立図などの図面を適切に保管し、必要なときに正しい図面を検索・閲覧・共有できる状態を維持することです。
単に紙図面をキャビネットへ収納したり、電子データをフォルダへ保存したりするだけでは、十分に管理できているとはいえません。
図面を適切に管理するためには、図面に関するさまざまな情報もあわせて管理する必要があります。
例えば、次のような情報です。
つまり図面管理では、図面の保管や検索だけでなく、必要に応じて承認、利用、改訂、廃止までの情報を管理します。
図面の保管は、図面を決められた場所へ保存することです。
一方、図面の管理では、保存されている図面について次のような状態を維持する必要があります。
図面が保存されていても、最新版が分からなかったり、必要な図面を見つけられなかったりする場合は、適切に管理できているとはいえません。
図面は、製品や部品を正しく製造するための基本となる情報です。
図面管理に問題があると、検索に時間がかかるだけでなく、誤製造や品質不良、手戻りにつながる可能性があります。
そのため、製造業では次のような理由から図面管理が重要です。
図面には、形状、寸法、材質、公差、加工方法など、製造に必要な情報が記載されています。
古い図面や承認前の図面を使用すると、次のような問題が発生する可能性があります。
製造現場で正しい図面を利用するためには、最新版と旧版を明確に区別する必要があります。
図面を利用するのは設計部門だけではありません。
営業部門では過去の類似製品を確認し、調達部門では部品を発注し、製造部門では加工や組立を行います。
品質管理部門では検査や不具合調査に図面を利用します。
図面の保存場所や探し方が分からないと、確認のたびに設計担当者への問い合わせが発生します。
必要な図面を関係する部門がすぐに確認できる環境を整えることで、情報共有をスムーズに行えます。
過去の図面は、類似設計、見積り、部品流用、不具合調査などに活用できる会社の技術資産です。
過去図面を検索できれば、一から設計し直す必要がなくなり、設計時間の短縮や部品の標準化につながります。
フォルダ構成やファイル名のルールが統一されていないと、図面を探すだけで時間がかかります。
担当者によって図面の保存ルールが異なり、製品名で分類する人もいれば、顧客名や案件名、年度ごとに管理する人もいます。
図面番号を知らなければ検索できない運用では、他部門の利用者が自分で図面を探せません。
ファイル名に「最新版」「最終版」「修正版」などを付けて管理していると、どのファイルが正式な図面か分からなくなります。
更新日が新しいファイルが、必ずしも承認済みの最新版とは限りません。
確認のたびに担当者へ問い合わせる必要があり、担当者が不在の場合は業務が止まることもあります。
設計変更後も、各部門で保存している図面データが更新されず、古い図面を参照してしまうことがあります。
古い図面の使用は、加工ミスや組立ミス、検査ミスの原因になります。
電子データを更新するだけでなく、紙図面や複製ファイルを含めて最新版へ切り替える運用が必要です。
設計、営業、製造などが、それぞれ必要な図面を自部門のフォルダへコピーすると、同じ図面が複数の場所に保存されます。
図面が重複すると、どれが正式な図面なのか判断しにくくなり、管理が複雑になります。
その結果、更新漏れが発生し、古い図面を使用してしまう原因になることがあります。
図面を上書き保存していると、過去の図面や変更前の状態を確認できません。
改訂番号だけでなく、変更日、変更者、変更内容、変更理由を記録しておくことで、不具合発生時の原因調査や設計変更の経緯確認に活用できます。
保存場所や命名方法が担当者の判断に任されていると、担当者しか図面を探せない状態になります。
担当者が異動や退職をした際には、図面の所在や過去の経緯が分からなくなる可能性があります。
図面管理のルールを統一し、担当者が変わっても同じ方法で検索・確認できるようにすることが重要です。
図面の管理方法には、紙、Excel、ファイルサーバ、図面管理システムなどがあります。
それぞれにメリットと課題があるため、図面数や利用人数、改訂頻度に応じて選ぶ必要があります。
紙図面をファイルやキャビネットへ収納する方法です。
図面数が多い企業では、専用の図面庫を設けて保管する場合もあります。
現場で閲覧しやすい一方、次のような課題があります。
紙図面を使用する場合は、原本、配布先、差し替え、旧版の回収方法を決めておく必要があります。
Excelで図面台帳を作成し、図面番号、品番、ファイルの保存場所などを一覧管理する方法です。
低コストで始めやすい一方、図面数や利用者が増えると、次のような課題が発生します。
Excelは一覧管理には適していますが、図面ファイルそのものの版管理や承認管理まで行うと、運用が複雑になりやすくなります。
図面データを共有フォルダへ保存し、フォルダ構成やファイル名で分類する方法です。
複数人で共有しやすい一方、図面数が増えるとフォルダ階層が複雑になり、次のような問題が発生します。
図面数や利用者が増えると、フォルダによる分類だけでは管理が複雑になります。
図面管理システムでは、図面番号、品番、製品名、顧客名などの情報を登録し、複数の条件から図面を検索できます。
版管理や改訂履歴、アクセス権限、関連資料の紐付けなどに対応したシステムもあります。
図面数や利用部門、改訂回数が増え、紙・Excel・ファイルサーバによる管理が難しくなった場合の選択肢の一つです。
| 比較項目 | 紙 | Excel | ファイルサーバ | 図面管理システム |
|---|---|---|---|---|
| 導入コスト | ◎ | ◎ | ○ | △ |
| 導入の手軽さ | ◎ | ◎ | ○ | △ |
| 検索性 | △ | ○ | ○ | ◎ |
| 最新版管理 | △ | △ | ○ | ◎ |
| 改訂履歴 | △ | △ | △ | ◎ |
| 関連資料の管理 | △ | ○ | ○ | ◎ |
| 大量図面の管理 | △ | △ | △ | ◎ |
◎:十分に対応 ○:対応可能 △:一部対応 ×:非対応
※一般的な運用例をもとにした比較です。機能や対応範囲は製品・運用方法によって異なります。
図面管理を効率化するには、システムを導入する前に、現在の運用と管理ルールを整理することが重要です。
具体的な効率化のポイントは、次のとおりです。
まずは、紙図面、ファイルサーバ、担当者のパソコンなど、図面が保存されている場所を確認します。
同じ図面が複数の場所に保存されていないか、使われていない古い図面が残っていないかも確認します。
現在使用している図面、過去図面、廃止図面、CADデータ、仕様書など、どこまでを管理対象にするか決めます。
すべてを一度に整理するのではなく、利用頻度の高い図面や重要な図面から始める方法もあります。
図面番号やファイル名のルールを統一します。
ただし、ファイル名に製品名、顧客名、材質、日付などの情報を詰め込みすぎると、かえって管理しにくくなります。
図面番号を識別情報として使用し、その他の情報は台帳やシステム上の項目として管理する方法もあります。
作成中、承認待ち、承認済み、廃止など、図面の状態を区別します。
どの状態の図面を正式版として扱うか、誰が改訂し、誰が承認するかを明確にします。
図面を閲覧できる人、編集できる人、承認できる人を決めます。
設計担当者は編集可能、製造担当者は閲覧のみとするなど、役割に応じた権限設定が必要です。
電子データを管理していても、現場に古い紙図面が残っていれば誤使用を防げません。
紙図面の配布先、改訂時の差し替え、旧版の回収・廃棄方法まで決めておきます。
新しい管理方法を全社へ一度に展開すると、現場の負担が大きくなります。
まずは特定の製品や部門から試験運用し、問題点を確認しながら、段階的に対象を広げていきます。
図面数や利用部門が少ない場合は、Excelやファイルサーバでも管理できることがあります。
しかし、図面数や改訂回数、利用者数が増えると、手作業による管理だけでは最新版の把握や改訂履歴の管理が難しくなります。このような場合には、図面の検索や版管理、関連情報の一元管理に対応した図面管理システムの導入も選択肢となります。
また、図面だけでなく、CADデータ、部品表、仕様書などの製品設計に関する情報まで一元管理したい場合には、PDMを利用する方法もあります。
図面管理とは、図面を保存するだけでなく、必要な人が必要なときに正しい図面を検索・閲覧・共有できる状態を維持することです。
製造業では、図面が設計、調達、製造、品質管理、営業など、複数の部門で利用されます。
そのため、図面管理に問題があると、検索時間の増加だけでなく、古い図面の使用、製造ミス、手戻り、情報共有の遅れにつながります。
紙、Excel、ファイルサーバによる管理は始めやすい一方、図面数や利用者が増えるにつれて、検索性、最新版管理、改訂履歴などに課題が生じます。
まずは、現在の図面と保管場所を整理し、命名ルール、版管理、承認、権限などの運用ルールを見直すことが重要です。
手作業での管理が難しい場合には、図面管理システムやPDMの活用も検討しましょう。

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