工場の省人化の進め方|自動化との違い・具体例・ポイントを解説

公開日:2026/08/25 更新日:2026/09/17
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製造業では、人手不足への対応や作業者の負担軽減、生産性の維持・向上などを目的に、工場の省人化を検討するケースが増えています。

しかし、省人化を進めようとしても、

  • どの作業から見直せばよいかわからない
  • 自動化と省人化の違いがわからない
  • どのような設備やシステムを活用できるかわからない
  • 導入した設備やシステムが現場に定着するか不安

といった悩みもあります。

省人化を進める際は、最初から設備やシステムを選ぶのではなく、現在の業務を整理し、どの作業に人手がかかっているのかを把握することが重要です。

この記事では、工場における省人化の意味や省力化・自動化との違い、具体的な取り組み例、省人化を進める手順やポイントについてわかりやすく解説します。

工場の省人化とは

省人化とは、設備やシステムの活用、業務改善などを通して人が行っている作業を減らし、より少ない人数でも業務を行えるようにする取り組みです。

例えば、作業者が台車で運んでいた部品をAGVなどで自動搬送したり、作業者が巡回して確認していた設備の状態をシステムで監視したりする方法があります。

省人化は、単純に人員削減だけが目的ではありません。
人が行う必要のない単純作業や繰り返し作業を設備やシステムに置き換えることで、限られた人員を、判断や改善など人が担うべき業務へ配置できる体制を目指します。

搬送・設備監視・記録作業を自動化する工場の省人化イメージ

省人化・省力化・自動化・無人化の違い

省人化と似た言葉に、「省力化」「自動化」「無人化」があります。
それぞれ目的や意味が異なるため、違いを整理しておきましょう。

用語 意味
省人化 作業に必要な人数を減らす 2人で行っていた作業を
1人で対応できるようにする
省力化 人が行う作業の
負担や手間を減らす
重量物の搬送を設備で補助する
自動化 人が行っていた作業を
設備やシステムで行う
検査結果を
自動で取得・判定する
無人化 人が常時作業しなくても
運用できる状態にする
搬送や設備監視を自動化し、
人が常駐しなくても運用できるようにする

例えば、重量物を持ち上げる装置を導入し、同じ人数のまま作業者の負担を減らす場合は「省力化」と考えられます。
一方、作業者が行っていた搬送そのものをAGVなどへ置き換え、搬送に必要な人員を減らす場合は「省人化」につながります。

また、自動化したからといって、必ずしも省人化できるとは限りません。
自動化した設備の操作や確認に従来と同じ人数が必要な場合、作業負担は減っても必要な人数は変わらないことがあります。

そのため、自動化や省力化は省人化を実現するための手段の一つと考え、導入後の作業や人員配置まで含めて検討することが重要です。

省人化と省力化・自動化・無人化の違いと関係

工場で省人化が求められる理由

① 人手不足に対応するため

必要な人員を確保できない場合、従来と同じ人数を前提とした生産体制を維持することが難しくなります。
人が行っている作業を設備やシステムへ置き換えることで、限られた人員でも業務を行える体制をつくることができます。

② 作業者の負担を減らすため

工場では、重量物の搬送、長時間の監視、繰り返し行う入力や記録など、作業者の負担になりやすい業務があります。設備やシステムによる支援・自動化によって、こうした作業の負担を軽減できます。

③ 属人化を減らすため

特定の担当者しか対応できない作業が多いと、その担当者が不在になった際に業務が滞る可能性があります。
作業手順を整理し、設備やシステムを活用して標準化することで、担当者の経験や勘への依存を減らせます。
組立工程では、作業手順の表示や部品の案内、作業進捗の検知などをデジタル化する方法もあります。

④ 生産性を維持・向上するため

製造そのものだけでなく、搬送、待ち時間、確認、記録、転記といった付帯作業にも人手と時間がかかります。
こうした作業を減らし、人が行う必要性の高い業務へ人員を配置することで、生産性の維持・向上につながります。

工場で省人化できる業務と具体例

工場の省人化というと、産業用ロボットが人間に代わって働くような、製造工程が自動化されたシーンをイメージするかもしれません。

しかし、省人化の対象になるのは製造作業だけではありません。
搬送、検査、設備監視、在庫管理、記録など、工場内のさまざまな業務で省人化できる可能性があります。

工場で省人化できる搬送・検査・設備監視・在庫管理・記録などの業務例
業務 省人化・効率化の例
搬送 AGV・AMRなどで材料や部品を自動搬送する
検査・測定 測定値の取得、合否判定、検査結果の記録を自動化する
設備監視 設備データを収集し、稼働状況や異常をまとめて確認する
在庫・入出庫管理 バーコードやRFIDを使って入出庫や棚卸の記録を効率化する
生産実績の収集 設備やPLCから生産数や稼働時間を自動で取得する
帳票・記録 紙への記入やExcelへの転記を減らし、データを直接記録する
設計・作図 設計ルールに基づく繰り返し作図を自動化する

① 搬送作業を自動化する

材料や部品、完成品などを作業者が台車で運んでいる場合、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)などを活用して搬送を自動化する方法があります。

作業者が搬送のために持ち場を離れる時間を減らせるため、搬送作業の削減だけでなく、本来の製造作業へ集中しやすくなります。

② 検査・測定を自動化する

製品や部品の検査では、測定だけでなく、測定値の記録、基準値との照合、合否判定、検査成績書の作成などにも人手がかかります。

測定機器とシステムを連携し、測定値の取得や合否判定、記録などを自動化することで、検査工程に必要な作業を減らせます。

③ 設備監視を効率化する

作業者が工場内を巡回し、設備の稼働状況や異常を確認している場合、設備から取得したデータを監視画面へ集約することで、複数設備の状態を一か所から確認できるようになります。

SCADA(監視制御システム)などを活用すれば、設備の状態やアラームをまとめて監視できるため、巡回や確認にかかる作業の削減につながります。

④ 在庫管理・入出庫作業を効率化する

入庫・出庫・棚卸などを紙や手入力で管理していると、商品や部品の確認、記録、転記に人手がかかります。

バーコードやRFID、ハンディターミナルなどを活用し、モノの移動に合わせて在庫情報を登録することで、入力や確認にかかる作業を減らせます。

特にRFIDは、利用するタグや機器、設置環境によっては複数のタグをまとめて読み取れるため、対象物を一つずつ読み取る作業の効率化にも活用できます。

💡 在庫管理の効率化をご検討の方へ

在庫管理の読み取り作業を効率化する方法について、詳しくはこちらをご覧ください

⑤ 生産実績を自動収集する

生産数や設備の稼働時間などを作業者が紙へ記録し、あとからExcelやシステムへ入力している場合、設備やPLCなどから実績データを取得することで、記録や転記の作業を減らせます。

データを自動で収集することで、作業時間の削減だけでなく、設備や生産状況を把握するためのデータも蓄積しやすくなります。

⑥ 帳票や記録をデジタル化する

作業日報、点検表、検査表などを紙で記録している場合、記入した内容を集計したり、別のシステムへ転記したりする作業が発生します。

帳票を電子化したり、設備や測定機器から取得したデータを直接記録したりすることで、記入・転記・集計にかかる作業を減らせます。

⑦ 設計・作図を自動化する

工場の省人化では、製造現場だけでなく、製造に関連する設計業務も見直すことができます。

寸法や仕様が異なる類似図面を繰り返し作成している場合は、設計ルールやパラメータに基づいてCAD図面を自動作成する仕組みを活用することで、作図にかかる作業時間を削減できます。

工場の省人化を進める6つの手順

設備やシステムありきで省人化を検討すると、導入しても現場の課題解決につながらない可能性があります。
まずは、現在の作業を整理し、人手がかかっている原因を把握したうえで、課題に合った方法を検討します。

工場の省人化を進める6つの手順

手順1:現在の作業と人員を把握する

まず、工場内で誰が、どのような作業を、どれくらいの時間行っているかを整理します。
製造だけでなく、搬送、確認、記録、入力、モノを探す時間などの付帯作業も含めて把握しましょう。

手順2:人手がかかっている作業を洗い出す

現状を整理したら、人手や時間がかかっている作業を洗い出します。

例えば、次のような作業がないか確認します。

  • 同じ内容を繰り返し入力・記録している
  • 決まったルートを何度も移動・搬送している
  • 設備の確認のために定期的に巡回している
  • 紙に記録した内容をあとからシステムへ転記している
  • 商品や部品、図面などを探す時間が発生している
  • 特定の担当者しか対応できない作業がある

作業そのものだけでなく、その前後に発生している確認・移動・転記なども含めて整理すると、省人化できるポイントを見つけやすくなります。

手順3:省人化する対象と目標を決める

洗い出した課題の中から、優先して省人化する工程や作業を決めます。

「工場全体を自動化する」といった大きな目標ではなく、「搬送にかかる作業時間を減らす」「検査結果の転記をなくす」など、対象となる作業を具体的にすると方法を検討しやすくなります。

また、作業時間や必要な人数など、導入効果を比較するための指標も決めておきます。

手順4:課題に合った省人化の方法を検討する

対象となる作業を決めたら、設備の導入、システム化、自動化、作業方法の見直しなどから適した方法を検討します。

例えば、搬送であればAGV・AMR、設備監視であればSCADA、在庫管理であればバーコードやRFIDなど、対象となる業務によって適した手段は異なります。

必ずしも大規模な自動化設備が必要とは限りません。紙からの転記をなくす、複数の画面で確認していた情報をまとめるといった小さな改善でも、人が行う作業を減らせる場合があります。

手順5:小さな範囲から導入する

工場全体を一度に省人化するのではなく、一つの工程やラインなど、対象を限定して導入する方法もあります。
小さな範囲で試すことで運用上の問題点を確認し、改善してから対象範囲を広げられます。

手順6:導入効果を確認して改善する

導入後は、作業時間や必要な人員、移動・入力回数、ミスの発生状況などを確認します。
実際の運用を確認しながら改善を重ね、効果が確認できた取り組みからほかの工程への展開を検討します。

工場の省人化を成功させるポイント

① 「何人減らすか」だけを目的にしない

必要な人数だけを指標にすると、一人あたりの作業量が増えたり、別の工程に負担が移ったりする可能性があります。
人手不足への対応や作業負担の軽減など、省人化によって解決したい課題を明確にしておきましょう。

② 人に任せる作業と自動化する作業を分ける

決められた手順を繰り返す作業やデータの転記などは自動化しやすい一方、状況に応じた判断や例外対応などは、人が対応した方が適している場合もあります。
人が担う作業と設備・システムへ任せる作業を分けて考えることで、無理のない省人化につながります。

③ 前後の工程まで含めて考える

一つの作業だけを自動化しても、前後の工程に手作業が残っていれば、十分な省人化につながらないことがあります。
例えば、測定値を自動で取得できても、その結果を別のシステムへ手入力している場合は転記作業が残ります。
設備やシステム単体ではなく、作業の流れ全体を確認しましょう。

④ 既存設備・システムとの連携を確認する

工場では、生産設備、PLC、生産管理システム、在庫管理システムなど、すでにさまざまな設備やシステムが使用されています。
新しく導入する設備やシステムが既存環境と連携できれば、データの手入力や転記を減らし、前後の業務も効率化しやすくなります。省人化を検討する際は、単体の機能だけでなく、既存設備やシステムとどのようにデータを連携できるかも確認しましょう。

⑤ トラブルや例外発生時の運用も決める

設備やシステムを自動化しても、設備停止や通信障害、読み取りエラーなどが発生する可能性があります。
異常をどのように検知するか、誰が対応するか、必要に応じて手作業へ切り替えられるかなど、通常時だけでなくトラブル時の運用も事前に決めておくと良いです。

⑥ 現場の担当者と一緒に進める

現在の作業を詳しく把握しているのは、実際にその業務を行っている現場の担当者です。
システムや設備を導入する担当者だけで方法を決めるのではなく、現場の作業方法や困りごとを確認しながら進めることで、実際の運用に合った仕組みを検討しやすくなります。

省人化を工場全体の改善につなげる

省人化を進める過程では、設備から生産実績を取得したり、検査結果をデータ化したり、在庫情報をシステムで管理したりするなど、さまざまなデータを扱うようになります。

こうした設備・作業・品質・在庫などのデータを収集し、現場の状況把握や課題の発見、業務改善へ活用していく取り組みは、工場DXにもつながります。

また、一つひとつの工程を個別に自動化するだけでなく、設備・人・モノ・情報を連携させて工場全体の最適化を目指す考え方がスマートファクトリーです。

省人化から工場DX・スマートファクトリーへつなげる流れ

💡 製造現場のシステム化をご検討の方へ

在庫・図面・設備・生産情報の管理、CAD自動作図、RFID活用、既存システムとの連携など、製造現場の課題に合わせたシステム開発に対応しています。

まとめ

工場の省人化とは、設備やシステムの活用、業務改善などを通して人が行う作業を減らし、より少ない人数でも業務を行えるようにする取り組みです。

省人化を進める際は、最初からロボットやシステムの導入を考えるのではなく、現在の作業を整理し、どこに人手や時間がかかっているのかを把握することが重要です。

搬送、検査、設備監視、在庫管理、生産実績の収集、帳票・記録など、工場には省人化を検討できるさまざまな業務があります。
自動化や省力化などの手段を組み合わせながら、自社の課題に合った方法を検討しましょう。

一度に工場全体を変えるのではなく、対象となる工程や作業を絞って導入し、効果を確認しながら改善・展開していくことが、省人化を進めるポイントです。

この記事を書いた人
担当者K ( 株式会社アイ・シー・エス )
マーケティングチームのメンバーです。
図面管理や在庫管理など、製造現場の業務効率化に役立つ情報を発信しています。
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