IoTを活用して設備やセンサーからデータを収集することで、現場の状況を把握しやすくなります。
そのため、製造業では、設備の稼働状況や生産実績の把握、品質管理など、さまざまな場面でIoTの活用が進められています。
しかし、IoTの導入を検討・推進する中で、
といった課題が生じることがあります。
IoTの導入を進めるには、機器やシステムの選定だけでなく、収集するデータの活用方法や現場の運用体制、導入後の保守なども考慮する必要があります。
この記事では、製造業のIoT導入でよくある課題とその原因、失敗を防ぐための対策について解説します。
製造現場のIoT導入では、データの収集・活用だけでなく、通信環境やセキュリティ、運用体制など、さまざまな点が課題になります。
ここでは、導入時や導入後に起こりやすい7つの課題を紹介します。
IoTによって設備の稼働状況や生産数量などを収集できるようになっても、そのデータを具体的な改善に活用できない場合があります。
例えば、設備の運転・停止時間を記録していても、停止した原因がわからなければ、どのような対策を打つべきかを判断するのが難しくなります。
このような状況が起こる原因の一つに、取得できるデータを集めることが先行し、何を分析して、どのような改善につなげたいのかが明確になっていないことが挙げられます。
データの収集自体を目的にせず、解決したい課題から収集すべき情報を明確にしておく必要があります。
IoTシステムを導入しても、現場で十分に活用されないことがあります。
例えば、データ入力や確認作業が新たに増えたことで、作業者の負担が大きくなるケースです。
また、収集した情報が何に使われるのかわからなければ、現場の協力を得にくくなる可能性もあります。
IoT導入時には、管理者が必要とする情報だけでなく、現場の作業負担や使いやすさも考慮することが大切です。
IoTでは、センサーやPLC(設備や機械の動作を制御する装置)など、さまざまな機器からデータを取得します。
機器の不具合や通信環境の影響によって、データの欠損や誤った値が発生することがあります。
また、手入力の情報が含まれる場合には、入力ミスや判断基準の違いによって、データにばらつきが生じることもあります。正確性が確保されていないデータを分析すると、現場の状況を正しく把握できず、改善の判断を誤る可能性があります。
導入前に実際の製造環境で安定してデータ取得できるか検証し、導入後もデータの品質をチェックするなど継続的なメンテナンスが求められます。
IoTによって生産設備やセンサーをネットワークに接続すると、データの収集や遠隔監視が可能になる一方、サイバー攻撃や不正アクセスなどへの対策も必要になります。
特に、生産設備を制御するネットワークでは、セキュリティ上の問題が設備の停止や生産活動への影響につながる可能性があります。
IoTの導入時には、ネットワーク構成やアクセス権限、機器の管理方法などを確認し、設備やシステムの利用状況に応じたセキュリティ対策を検討します。
IoTの導入には、センサーや通信機器などの購入費用だけでなく、設置工事やシステム開発、通信環境の整備などにも費用がかかります。
例えば、既存設備から必要なデータを取得できず、追加のセンサーや通信機器が必要になる場合があります。
また、導入後には、システムの保守や機器の交換、ソフトウェアの更新など、継続的な運用費用も発生します。
初期費用だけで判断せず、導入後の運用も含めた総コストを確認する必要があります。
IoTシステムは、設備やセンサー、ネットワーク、データを収集・蓄積する仕組み、業務システムなど、複数の要素で構成されます。
そのため、必要な機器やシステムの役割、データの流れが整理されていないと、導入範囲や必要な機能を判断しづらくなります。
また、複数のシステムやベンダーが関係している場合、対応範囲や連携方法が不明確になることもあります。
導入前に、どの設備から何のデータを取得し、どのシステムで管理・活用するのか、全体の構成を整理しておくことが大切です。
IoTの導入には、製造設備に関する知識に加えて、ネットワークや通信、データ処理、システム開発など、幅広い分野の知識が求められます。
しかし、製造現場の担当者が日常業務と並行して、技術習得から導入まで進めることは簡単ではありません。
また、システム導入後のトラブル対応や保守を誰が担当するのか決まっていない場合、継続的な運用が難しくなる可能性もあります。
社内で対応する業務と外部へ依頼する業務を整理し、導入後も運用できる体制を検討する必要があります。
IoT導入時のトラブルや手戻りを減らすには、導入前の検討から運用開始後までを見据えて計画することが大切です。
特に、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
まずは、IoTによって何を改善したいのかを整理します。
例えば、設備の停止時間を削減したい場合は、稼働時間だけでなく、停止した設備や停止理由などの情報もあると改善策を立てやすくなります。
また、品質不良の原因を調査したい場合は、製造日時や設備の状態、加工条件などの情報が必要になることも考えられます。
このように、改善したい業務や目的によって必要なデータは異なります。
何のために、どのデータを取得し、どのように活用するのかを明確にすることが重要です。
IoT機器やシステムを選定する際には、実際の製造環境で問題なく利用できるか確認する必要があります。
工場内では、設備から発生する電気的なノイズや振動、設置場所の条件などによって、センサーや通信機器の動作に影響する場合があります。
また、既存設備の仕様によっては、想定していたデータを取得できないこともあります。
対象となる設備や工程を限定して事前検証し、データの取得状況や通信の安定性、既存設備との接続などを確認してから、本格導入を進める方法が有効です。
現場でIoTシステムを継続して活用するためには、システムを利用する担当者や操作方法、データを確認するタイミングなどを明確にしておく必要があります。
例えば、手入力が必要な場合は、入力項目を最小限にするなど、作業負担を抑える工夫が考えられます。
また、収集したデータを誰が確認し、どのような判断や改善に活用するのかも決めておくとよいでしょう。
IoTを継続して活用するために、機器やシステムの保守・運用体制を整えることも大切です。
導入前には、次のような項目も確認しておきましょう。
初期費用に加えて運用中に発生する費用や作業負担を確認し、無理なく継続できる仕組みを検討しておきます。
IoTによって設備や現場の状況を見える化することは、業務改善に向けた取り組みの一つです。
しかし、収集したデータを画面に表示するだけでは、十分な改善効果が得られない場合もあります。
データを分析し、現場の課題を把握したうえで、具体的な改善策を実行する必要があります。
例えば、設備の停止時間を削減したい場合は、次のような流れが考えられます。
| 段階 | 取り組み例 |
|---|---|
| 1. データ収集 | 設備の運転・停止時間や停止理由を記録する |
| 2. 状況の把握 | 停止時間が長い設備や、停止が多い時間帯を確認する |
| 3. 原因の分析 | 停止理由や発生状況を調べ、改善が必要な要因を特定する |
| 4. 改善・効果確認 | 作業手順や設備の運用を見直し、停止時間の変化を確認する |
このように、データを収集する目的を明確にし、分析結果を具体的な改善につなげることが大切です。
また、IoTの活用範囲を最初から工場全体に広げる必要はありません。
特定の設備や工程から始め、データの取得や活用方法を確認しながら、必要に応じて対象を広げていく方法もとれます。
製造業のIoT導入では、データの活用不足や現場への定着、通信環境、セキュリティ、コスト、専門人材の不足など、さまざまな課題が生じることがあります。
こうした課題を防ぐためには、導入目的と必要なデータを明確にし、実際の製造環境での検証や運用方法、保守体制まで考慮することが重要です。
また、IoTによる見える化は、現場の状況を把握するための手段です。
収集したデータを分析し、具体的な改善につなげることで、IoTを業務改善に活用できます。
まずは自社の課題を整理し、必要な範囲から段階的に取り組みを進めましょう。
無料資料「IoT導入のつまずき7選と、改善ポイント」では、製造現場でIoTを導入する際に起こりやすい7つの課題それぞれの具体的な対策に加え、小さく始めて改善につなげるための導入ステップも紹介しています。
データの活用方法や現場への定着、セキュリティ、コスト、運用体制など、導入前後に確認しておきたいポイントをまとめています。
IoTの導入を検討している方や、導入後の運用に課題を感じている方は、ぜひご活用ください。

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