製造業では、製品に不具合が発生した際、どの原材料や部品を使用し、いつ製造したのかを確認できることが求められます。
こうした情報を追跡するために活用されるのが「ロットトレース」です。
ロットトレースでは、原材料の受け入れから製造、出荷までの履歴をロット単位でひも付け、必要な情報をさかのぼって確認したり、影響範囲を調べたりできます。
この記事では、ロットトレースの仕組みや必要な管理情報、具体的な管理方法、運用時のポイントについて解説します。
ロットトレースとは、原材料や部品、製品などをロット単位で識別し、製造・加工・出荷などの履歴を追跡することです。
ロットとは、製品や原材料などを一定の条件でまとめた単位です。
例えば、同じ日に同じ製造ラインで生産した製品を、1つのロットとして扱う場合があります。
ロット管理は、製品や原材料をロットごとに区分し、数量や保管場所、製造日などを管理することです。
一方、ロットトレースは、製品と原材料のロットをひも付け、製造から出荷までの履歴を追跡することを指します。
つまり、ロット管理で記録した情報を使って履歴を追跡するのがロットトレースです。
具体的には、製品ロット番号から使用した原材料ロットを特定したり、特定の原材料ロットを使用した製品や出荷先を調べたりします。
トレーサビリティとは、製品や部品の履歴を追跡できる仕組みのことです。
ロットトレースは、その中でもロット単位で履歴を追跡する方法にあたります。
個々の製品をシリアル番号などで識別する方法とは異なり、同じロットに属する製品をまとめて追跡する点が特徴です。
ロットトレースでは、原材料・部品のロット番号と、製造した製品のロット番号、出荷履歴をひも付けて管理します。
例えば、原材料ロット「A-001」と「B-002」を使用して製品ロット「P-101」を製造した場合、それぞれの関係を記録します。
さらに、製品ロット「P-101」の出荷先や出荷数量を記録することで、原材料から出荷先までの履歴を追跡できるようになります。
トレースバックとは、製品から製造工程や使用した原材料へと履歴をさかのぼることです。
例えば、製品ロット「P-101」に不具合が見つかった場合、製造履歴を確認し、使用した原材料ロット「A-001」「B-002」を特定します。
原材料や製造条件に問題がなかったかを調査する際に役立ちます。
トレースフォワードとは、原材料や部品から、それらを使用した製品や出荷先を追跡することです。
例えば、原材料ロット「A-001」に不具合が見つかった場合、その原材料を使用した製品ロットを特定し、在庫状況や出荷先を調べます。
これにより、不具合の影響範囲を把握し、対象製品の出荷停止や回収などの対応を検討できます。
ロットトレースを行うには、ロット番号だけでなく、製造や入出庫の履歴を記録する必要があります。
主な管理情報は次のとおりです。
| 管理情報 | 主な記録内容 |
|---|---|
| ロット情報 | ロット番号、品番、品名、製造日、数量など |
| 原材料・部品情報 | 使用した材料・部品のロット番号、仕入先、使用数量など |
| 製造履歴 | 製造日時、製造工程、使用設備、原材料ロットと製品ロットの対応関係など |
| 検査履歴 | 検査日時、検査項目、検査結果など |
| 入出庫・出荷履歴 | 入出庫日時、ロット番号、数量、出荷先など |
必要な管理項目は、製品の特性や製造工程、求められる追跡範囲によって異なります。
特に、複数の原材料ロットを使用して1つの製品ロットを製造する場合や、同じ原材料ロットを複数の製品ロットに使用する場合は、それぞれの関係を記録する必要があります。
ロットトレースは、紙やExcelでも管理できますが、管理するロット数や製造工程が増えると、記録や履歴の照合に手間がかかります。
現場の規模や業務内容に応じて、適切な管理方法を選ぶことが大切です。
※ バーコード・QRコードは紙・Excelやシステムと組み合わせて使用することもあります
製造記録や入出庫記録にロット番号を記入し、Excelなどで一覧管理する方法です。
比較的少ない費用で始められ、管理対象が少ない現場では運用しやすい方法です。
一方、製造工程やロット数が増えると、複数の記録を照合する必要があり、追跡に時間がかかる場合があります。また、手入力による記録ミスや転記漏れにも注意が必要となります。
原材料や製品にロット番号を表すバーコード・QRコードを付け、入出庫や製造時に読み取る方法です。
ロット番号を手入力する作業を減らし、記録ミスの防止につながります。
ただし、読み取った情報を記録する仕組みや、原材料と製品のロットをひも付ける運用が必要です。
生産管理システムや在庫管理システムなどを活用し、製造履歴や入出庫履歴を管理する方法です。
原材料・製品・出荷先のロット情報をひも付けて管理することで、必要な履歴を検索・照合しやすくなります。
ただし、管理できる情報や追跡範囲はシステムによって異なるため、自社で必要なロット情報を記録・検索できるか確認する必要があります。
ロットは、製造日や製造ライン、製造条件などをもとに区分します。
ロットの範囲が広すぎると、不具合が発生した際に調査や回収の対象が広がる可能性があります。
また、細分化しすぎると管理するロット数が増えてしまいます。
そのため、製品の特性や追跡に必要な範囲に合わせて設定します。
原材料や仕掛品のロットを分割したり、複数のロットを混合したりする場合は、元のロットとの関係を記録します。こうした履歴が残っていないと、製品から使用した原材料ロットを正確に追跡できなくなります。
ロットトレースでは、入庫・製造・出庫などの各工程で正確に情報を記録する必要があります。
記録する担当者やタイミングを明確にし、記録漏れやロットの取り違えを防ぎます。
また、特定のロットから必要な履歴を追跡できるか、定期的に確認することも重要です。
在庫・図面・設備・生産情報の管理、CAD自動作図、RFID活用、既存システムとの連携など、製造現場の課題に合わせたシステム開発に対応しています。
ロットトレースとは、原材料や部品、製品のロット情報をひも付け、製造から出荷までの履歴を追跡することです。
不具合が発生した際に原因や影響範囲を調べるためには、ロット番号だけでなく、原材料の使用履歴や製造・出荷履歴を正確に記録する必要があります。
紙やExcelでの管理も可能ですが、ロット数や製造工程が多い場合は、バーコードやシステムを活用することで、記録・検索・照合作業の効率化につながります。
自社で必要な追跡範囲を整理し、適切な管理方法を検討しましょう。

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