品質トレーサビリティとは?製造履歴を見える化する仕組みやメリットをわかりやすく解説

2026年07月28日
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品質トレーサビリティとは、製品や部品が「いつ・どこで・誰が・何を使って・どのように製造・検査されたのか」を記録・追跡できる仕組みです。

製造業では、不具合発生時の原因究明や影響範囲の特定、品質保証の強化を目的として、製造履歴や検査履歴を追跡できる仕組みが活用されています。

また、近年は人手不足や品質要求の高度化を背景に、より正確かつ効率的な履歴管理が求められています。
そのため、紙やExcelで管理する方法に加え、MESや検査システム、バーコード・QRコード・RFIDなどを活用したデジタル管理も広がっています。

本記事では、品質トレーサビリティの仕組みや必要性、導入メリット、構成例についてわかりやすく解説します。

品質トレーサビリティとは

品質トレーサビリティとは、製品や部品、原材料の製造履歴・検査履歴・使用先などを記録し、必要なときに追跡できるようにする仕組みです。
トレーサビリティ(Traceability)は「追跡可能性」を意味します。

品質トレーサビリティが確保されていれば、管理項目に応じて

  • どの部品を使用したか
  • どの設備で製造したか
  • どの作業者が担当したか
  • どの検査結果だったか

などの情報を製造工程中や出荷後でも、さかのぼって検索・確認できます。

そのため、不具合発生時の原因調査や影響範囲の確認を迅速化できます。

品質トレーサビリティで製品・部品・製造・検査の履歴を管理する仕組み

このように、製品・部品・工程・検査結果をひも付けて管理することで、必要な情報をすぐに追跡できます。

品質トレーサビリティの2つの追跡方法

品質トレーサビリティには、前方トレーサビリティと後方トレーサビリティの2つの追跡方法があります。

  • 前方トレーサビリティ(トレースフォワード):原材料や部品から、どの製品に使用されたかを追跡すること
  • 後方トレーサビリティ(トレースバック):製品から、使用した部品や製造工程へさかのぼって追跡すること

品質問題が発生した際には、前方・後方の両方を追跡できることで、原因調査や対象製品の特定を迅速に行えます。

前方トレーサビリティと後方トレーサビリティの違い

品質管理・ロット管理との違い

品質トレーサビリティは、製品や部品の製造履歴や検査履歴を記録・追跡する仕組みです。
一方で、品質管理やロット管理は目的や役割が異なります。

項目 主な目的・役割
品質管理 製品や工程の品質を維持・改善する活動全般
ロット管理 同じ条件で製造・管理する製品をロット単位で識別する方法
品質トレーサビリティ 製品や部品の履歴、使用先、所在などを記録・追跡する仕組み

つまり、品質管理は品質を維持・改善するための活動、ロット管理は製品を管理する方法、品質トレーサビリティは製品の履歴を記録・追跡する仕組みという違いがあります。

品質トレーサビリティで管理される主な情報

品質トレーサビリティでは、製造から出荷までの工程の中で発生するさまざまな情報を記録・管理します。

管理情報
製品情報 品番・製造番号・ロット番号など
材料・部品情報 使用部品・部品ロット・仕入先など
製造情報 設備・工程・作業日時・作業者
検査情報 測定値・判定結果・検査日時
設備情報 設備番号・稼働履歴・異常履歴
出荷情報 納品先・出荷先・出荷日時・出荷ロット

これらの情報をひも付けて管理することで、必要な履歴を検索・確認しやすくなります。

品質トレーサビリティのメリット

近年は、品質要求の厳格化やリコール対応、品質保証の強化といった背景から、製造履歴の記録やトレーサビリティ(追跡可能性)の確保が重要になっています。
では、品質トレーサビリティの確保によって、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

① 品質問題へ迅速に対応できる

製造履歴をすぐに確認できるため、問題が発生した工程・設備・部品を絞り込み、不良原因の調査を迅速化できます。
また、影響範囲の調査時間短縮にも役立ちます。

② 回収対象を絞り込みやすい

対象ロットやシリアル番号、使用部品などを追跡することで、影響を受ける可能性のある製品を特定し、回収範囲の絞り込みに役立ちます。

③ 品質改善につながる

設備の不具合解析や、工程ごとの品質傾向を分析し、継続的な改善活動へ活用できます。
品質保証・品質管理の強化につながります。

④ 品質保証の信頼性が向上する

製造履歴や検査履歴を提示できるため、顧客からの問い合わせにも迅速に対応できます。
また、法令や業界規格で記録・追跡が求められる場合には、必要な記録の保存や監査時の証跡確認を支援できます。

⑤ 履歴確認の属人化を抑えられる

履歴情報をシステム上で共有することで、特定の担当者に確認方法や保管場所が依存する状態を減らせます。

品質トレーサビリティはどのように実現する?

品質トレーサビリティは、製品や部品を識別し、各工程で発生する製造・検査・在庫・設備などの情報をひも付けて記録することで実現します。

必要なシステムや構成は、追跡する対象や工程、既存設備によって異なります。

構成例として、製造実行システム(MES)で製造指示や実績を管理し、検査システムで測定結果や合否判定を記録する方法があります。

また、バーコード・QRコード・RFIDなどで製品や部品を識別し、WMSで入出庫や保管履歴を管理したり、PLCやSCADAから設備データを収集したりすることで、より詳細な履歴を構築できます。

MES・検査システム・SCADA・WMSを連携した品質トレーサビリティシステムの構成例

このように各システムを連携することで、製造から出荷までの情報が一つの製品にひも付けられ、品質トレーサビリティを実現できます。

品質トレーサビリティで利用される主な技術

システム・技術 役割
製造実行システム(MES) 製造指示や、製造実績・製造履歴管理により、工程ごとの履歴を記録します。
検査システム 測定値や合否判定を記録し、検査履歴を残します。
PLC 設備を制御し、センサ値や運転状態などの設備データを取得します。
SCADA 設備やPLCから取得した情報を収集・監視・見える化し、必要に応じて履歴として保存します。
倉庫管理システム(WMS) 部品や製品の入出庫・保管履歴を管理します。
バーコード・QRコード・RFID 製品や部品を識別するためのコードやタグとして使用し、各工程の履歴を同一の対象へひも付けます。
データベース 各工程の情報を集約し、検索・追跡できるようにします。

これらを連携することで、製造・検査・設備・在庫などの情報をひも付けて管理でき、製品の履歴を一元的に追跡できるようになります。

導入時のポイント

品質トレーサビリティを進めるにあたって、次の点を整理しておくことが重要です。

  • 何を、どの範囲まで追跡するか
  • ロット単位か、シリアル単位か
  • 各工程で記録する情報とタイミング
  • バーコードなどによる識別方法
  • 手入力や読み取り漏れを防ぐ運用ルール
  • 既存システムや設備との連携方法
  • データの保存期間・閲覧権限・バックアップ
  • 通信障害や機器故障時の代替運用

まとめ

品質トレーサビリティは、製造履歴・検査履歴・ロット情報などをひも付けて管理し、品質保証や品質管理を支える重要な仕組みです。

製造実行システム(MES)、検査システム、SCADA、WMSなどを必要に応じて連携することで、製造から検査、保管、出荷までの履歴を迅速に追跡でき、品質向上や業務効率化だけでなく、迅速な原因調査や品質保証の強化にもつながります。

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この記事を書いた人
担当者K ( 株式会社アイ・シー・エス )
マーケティングチームのメンバーです。
図面管理や在庫管理など、製造現場の業務効率化に役立つ情報を発信しています。
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